白い雲、青い空

15/16
前へ
/16ページ
次へ
「お姉さん、ねぇねぇバイト何時まで?良かったら遊ぼうよ」 あぁ・・・今度はこの類いか。 学生っぽい男の子がこうやって声をかけてくるのも、良くある。 なので答えももう決まってる。 「あ~閉店までです」   じゃ、と立ち去る。 いちいち構ってられないからね。 「凛々ちゃん、また声をかけられたね」 と笑う咲は、黒いエプロンが良く似合う。 「あ~社交辞令でしょ?」 あんなの本気じゃないに決まってる。 「え?そうかな。今のカッコいい子、まだこっち見てるよ」 咲の言葉に振り返れば、さっき声をかけてきた男の子が笑顔で手を振ってた。 ペコッと会釈して、気づかれないように溜め息をついた。 「顔が良い男は懲り懲りよ」 と小さく漏らした言葉は、 「凛々ちゃん、イケメンの元カレに裏切られたもんね」 といつのまにか隣にいた凪に聞かれてた。 「煩い」 「凪はデリカシー無さすぎだよ」 咲が凪を諌めた。 「いらっしゃいませぇ」 新しいお客さんに私はその場を後にする。 本当、ここのバイトの奴等といい、客といい、イケメンは面倒臭い。 その後も、同じ様なやり取りを女性客と男性客としながら、今日の営業を終えた。
/16ページ

最初のコメントを投稿しよう!

50人が本棚に入れています
本棚に追加