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「お姉さん、ねぇねぇバイト何時まで?良かったら遊ぼうよ」
あぁ・・・今度はこの類いか。
学生っぽい男の子がこうやって声をかけてくるのも、良くある。
なので答えももう決まってる。
「あ~閉店までです」
じゃ、と立ち去る。
いちいち構ってられないからね。
「凛々ちゃん、また声をかけられたね」
と笑う咲は、黒いエプロンが良く似合う。
「あ~社交辞令でしょ?」
あんなの本気じゃないに決まってる。
「え?そうかな。今のカッコいい子、まだこっち見てるよ」
咲の言葉に振り返れば、さっき声をかけてきた男の子が笑顔で手を振ってた。
ペコッと会釈して、気づかれないように溜め息をついた。
「顔が良い男は懲り懲りよ」
と小さく漏らした言葉は、
「凛々ちゃん、イケメンの元カレに裏切られたもんね」
といつのまにか隣にいた凪に聞かれてた。
「煩い」
「凪はデリカシー無さすぎだよ」
咲が凪を諌めた。
「いらっしゃいませぇ」
新しいお客さんに私はその場を後にする。
本当、ここのバイトの奴等といい、客といい、イケメンは面倒臭い。
その後も、同じ様なやり取りを女性客と男性客としながら、今日の営業を終えた。
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