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視界に広がる光景に、私は溜め息を漏らす。
ガードレールの向こう側に広がるのは、白い砂浜とどこまでも続く青い海。
そして白い雲が流れる透き通るような青空。
そこはまさに楽園。
水着姿の若者や家族連れが笑顔を浮かべている。
楽しそうな雰囲気にワクワクしてくる。
ここが、今日から私の職場になる。
高校生活最後の夏休み。
大学受験の勉強もすっ飛ばして、住み込みアルバイトに来た。
失恋と言う大きな傷を心に抱えて。
あ~やだやだ、嫌なことを思い出した。
封印するためにやって来たって言うのに、ふとした瞬間に思い出しちゃう。
切なさと苦しさと、私は本当の意味で笑えるようになるんだろうか。
恋人と親友に裏切られたこの大きな心の傷は癒える事はあるのかな。
「もう、ダメだ。しっかりしろ、私」
持っていたボストンバックを足元に下ろして、両手でパンパンと頬を2回叩いた。
よし、気合い注入っと。
お世話になる海の家へレッツゴーだ!
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