白い雲、青い空

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パチパチパチ・・・見てたであろうお客や海水浴客から拍手と歓声が上がる。 ・・・あ、どうも・・と頭を軽く下げて、私は走り出した。 モタモタしてたら捕まるからね。 だけど、砂の上は上手くは知れない。 「お前ら、あの子捕まえろ。捕まえた奴に特別ボーナスだ」 あの男、何を言ってるのよ。 追い掛けてきたらどうすんの。 ギョッとした顔で振り返った私の目に写ったのは、イケメンの男の子達数人が追いかけてくる姿。 「やだぁー!」 もうなんなのよ。 ボストンバッグを抱き締めて必死に走った。 砂浜の逃走劇が始まった瞬間だった。 海水浴客の間を縫って走る。 パラソルもレジャーシートも避けながら進む。 小さな子にはぶつからないように細心の注意を払って逃げまくった。 逃げやすいTシャツと短パンで来た自分を誉めてやりたい。 だけど、現実とは残酷なモノだ。 スタミナも体格も、男の子には勝てる訳が無かったのだ。 「俺の勝ちな」  クツクツ笑いながら私の肩を掴むイケメンは黒髪のボクサーの様な体型をした男の子。 「うわっ、惜しいあと少しだったのに」 案内してくれた赤髪のイケメンだ。 「チェッ、残念」 もう飽きたと去っていくのはかき氷を作ってたイケメン。   「無駄に走らせんなよ、くそ女」 と暴言を吐いたのは金髪の編み込みをした楽と呼ばれた人。 「早いねぇ、キミ」   黒髪のサラサラロン毛のお兄さんだ。 中性的な顔だけど、イケメンなのは間違いない。 あんた達、私を全員で追い掛けた様だけど、店はどうしたよ? 私を捕まえた奴に引きずられるように海の家へと逆戻りした。
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