第1章

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その日もいつも通りの練習が行われていた。絶え間無くボールの音が鳴り、時々ブザーの音が体育館中に響き渡る。隣のコートには、いつも通りの姿があった。身長は180センチくらいだろうか。体型はガッチリとしていて、いかにもスポーツマンといった感じ。時折見せる、屈託のない笑顔が眩しかった。 練習はあっという間に終わった。更衣室で先生たちのモノマネで盛り上がり、騒ぎながら体育館を出た。少し歩いたところでケータイを置いてきたことに気づいた私は、忘れ物したから取りに行ってくる、とだけ伝えて更衣室に戻った。ケータイを見つけ体育館を出ようとした時に、体育館の入り口で先輩と男バスの人が話しているのに気づいてしまった。 「そういえば、さきちゃんとはどうなったんだ? 夏祭り一緒に行くんだろ?」 私は、先輩に向けられたその言葉に耳を疑った。しかし、その後の一言で受け止めざるを得なかった。 「なんで知ってんだよ」 私は愕然とした。その場で崩れ落ちてしまいそうだった。それから私がどのようにして帰ったかは、あまり覚えていない。
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