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俺の職業は警察官。
と言っても、巡査だけどな。
勤務は楽じゃないけど、まぁ仕事なんてものは須らく大変なものだ。
刑事の親父に強く勧められて選んだ仕事だが、まぁ特にやりたい事がなかったし、俺の意に関係なく肩書きは正義だ。
悪い気はしない。
だから俺は、毎日淡々と仕事に励んでいた。
そんなある日。
周辺のパトロールを行っていた時だ。
こんな田舎で何か起きるはずもないだろうにと、文句を言いながら巡回していた時だ。
「ん?」
俺は前方に何かが落ちているのに気がついた。
「あれは……」
近づいてみると、それは鞄だった。
割とでかい。
革製の手提げ鞄だ。
「落とし物か?」
なんて思いながら、拾い上げようとするが……。
「う?」
なんだ?
やけに重いが……。
一体何が入ってやがるんだ?
まさか、生首とかじゃないだろうな……。
まぁ、いくら推察したところで、鞄の中身なんか知る由もない。
幸い鍵らしきものは掛かってないみたいだ。
「よし、開けてみるか」
俺は意を決して、鞄を開けてみる事にした。
チャックを引いて中身を確認する。
すると、鞄の中身が確認できた。
鞄の中に入っていたもの。
それは、紙だった。
おびただしい数の和紙。
幾束にもなっている。
ざっと見て、1000枚はあるか?
これが金だったら、かなりの額だ。
なんて思ったのも束の間。
その紙と俺は目が合った。
正確には、紙に描かれた顔と目が合った。
そして、その顔に俺は身に覚えがあった。
「マジかよ……」
思わず声が出た。
だってその顔は、''諭吉''だったからだ。
要するにだ。
金が落ちていた訳だ。
しかも大金だ。
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