第一章

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金だ。 金が落ちていやがった。 それも大金だ。 ど、どうする? 落ち着け俺! まずは警察に届けなければ! 交番って何処だ? だから、落ち着け俺! 警察官は俺だろ! 俺がこのまま交番に持ち帰ればいいだけの話だ。 俺は鞄をなんとか抱えると、勤務先の交番に戻る事にした。 しかしなんでこんな大金が道端なんかに落ちていたんだ? そんな当たり前の疑問も一緒に抱えながら、交番に辿りついた。 同僚に訳を話したが、まぁ当然驚いていた。 上司に報告したところ、一応''遺失物''扱いになるそうだ。 ん? ''遺失物''扱いって事は、当然''遺失物法''の対象になる訳か。 って事は……。 このまま持ち主が現れなければ……。 この大金は、全額発見者である俺の物になる訳か? 仮に持ち主が現れたとしても、大金の一割は確実に俺の物になる! ふむ……。 悪くない……。 あわよくば、持ち主が現れない事を俺は祈った。 そして……。 それから、一週間が経たない間に交番へ、とある人が訪ねて来た。 初老の女性だった。
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