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「・・・何これ」
心のノート。
確か、小学校の道徳の時間。
こんなノートを使って授業をしていた覚えがある。
でも、これは色合いしか似通ってない。
しかしノートも不思議ではあるが、それよりもっと疑問がある。
(そもそも、誰がいれた?)
時刻は深夜0時を回っていて、周囲を見渡しても人影はない。
耳をすましても、遠くの車の通過音しか聞こえてこない。
途端に恐怖が湧いてきて、背筋が少し寒くなる。
少し足早に玄関をくぐり、扉を閉める。
(よし、鍵はオッケー。)
バクバクとした心臓を深呼吸で落ち着かせ、改めてノートを見る。
見た目は大学ノートに近く、全体的にすすけている。なにより題名の字感が幼い。小学生が書いたように見える。
(・・・とりあえず見てみるか。)
好奇心に負けて、ノートを手に居間へと戻る。
廊下の電気を消そうか数秒迷ったが、消して少し歩調を早めた。
扉へ手をかけ、ふと振り向いて玄関を見る。
暗闇の中、ぼんやりと浮かぶ玄関の扉はいつもと変わらず佇んでいた。
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