天井の隅に蜘蛛の巣

2/5
前へ
/9ページ
次へ
「・・・何これ」 心のノート。 確か、小学校の道徳の時間。 こんなノートを使って授業をしていた覚えがある。 でも、これは色合いしか似通ってない。 しかしノートも不思議ではあるが、それよりもっと疑問がある。 (そもそも、誰がいれた?) 時刻は深夜0時を回っていて、周囲を見渡しても人影はない。 耳をすましても、遠くの車の通過音しか聞こえてこない。 途端に恐怖が湧いてきて、背筋が少し寒くなる。 少し足早に玄関をくぐり、扉を閉める。 (よし、鍵はオッケー。) バクバクとした心臓を深呼吸で落ち着かせ、改めてノートを見る。 見た目は大学ノートに近く、全体的にすすけている。なにより題名の字感が幼い。小学生が書いたように見える。 (・・・とりあえず見てみるか。) 好奇心に負けて、ノートを手に居間へと戻る。 廊下の電気を消そうか数秒迷ったが、消して少し歩調を早めた。 扉へ手をかけ、ふと振り向いて玄関を見る。 暗闇の中、ぼんやりと浮かぶ玄関の扉はいつもと変わらず佇んでいた。
/9ページ

最初のコメントを投稿しよう!

1人が本棚に入れています
本棚に追加