深夜の体育館

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体育館の玄関に着いたボクは耳をガラス張りのドアに近付けると… ビュ… ガコッ… ボ-ン… 微かだが、ボールを放る音と何かに当たる音、そして跳ねる音が聞こえる… それらの音から、ボクはバスケ部の誰かがシュート練習をしているんだ、と解釈する。 館内に入ろうと思ったボクはアタッシュケースを地面に下ろし、ダイヤルを回し小さな蓋を開け鍵を取り出した。 実は、自慢じゃないけどボクはトレーナーの資格を持っていて、体育館の鍵を所持する許可を得ていたのだ。 ガチャリ… 玄関の鍵を解錠したボクは音を立てないよう、靴を脱ぎ静かに館内に潜入した。 誰かが浸入して来ないよう、鍵を施錠することも忘れなかったけどね… 二階から漏れる明かりのお陰でホールは暗くなかったから、労せず階段の所までたどり着いたボクは二階へ見上げる。 「女の子だったら、良いけどな…」 ボクはそう思うと、ブルっと身体を震わせた。 練習している者が同性だと、襲われそうな気がしたからだ… 以前に男子バレー部の選手のマッサージ中に尻や胸を触られたイヤな思いをしたことがあったから… タン…タン… ボクは気付かれないよう一段づつ音を立てないよう、ゆっくり上った。
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