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コーヒーをすすりながら宮本はそう言った。
「へぇー」
と俺は本をパラパラ捲って見た。しかし、何で写真ではなく絵なのだ。俺は不思議に思っていた。芸術家趣味なのかなと、思いながら本を見ていた。
「あまり人前で開くな。特にターミナル星の様な場所ではな。公安に引っ張られて、散々絞られるぜ」
と宮本は俺の本を押さえて言った。俺は慌てて本を袋にしまった。
そして俺達は、集合時間に遅れる事もなく駅に集り、AD航船で実家へと帰った。
これから1ヶ月間、俺は何をして過ごせば良いのやらと、途方に暮れていた。
どうやら俺は待つと言うのが、この世で1番苦手な様だ。
それからの俺は、日常をボーッと過ごした。最初の何日かは、血がたぎっていたのか親父の道場で、子供達に大嫌いな基礎を教えたりしていたが。どうにも退屈だった。
遂にはウロウロと街を彷徨いてみたが。最早、この街には俺に逆らって、喧嘩を吹っ掛ける奴はいないし、そんな年でもなかった。
後輩の元気の良い奴らは、頭を下げて挨拶してくるし、まったく欲求不満だった。
俺は宮本の家を訪ねて行く事にした。俺達の家は隣と言っても、10キロや20キロは平然と離れている。
地下鉄によって、縦横無尽に各町や家の近くへと行けるのだ。学校も地下に降りれば専用列車が、駅が無くても乗せてってくれる。
しかし、それは学生のみの特権で、卒業した俺は、当然、地下鉄の最寄りの駅まで歩くか、又は走路に乗るしかない。
大した距離でもないのであまり不便は無い。
大体において申請すれば、隣家と離れていれば、家の直ぐ下辺りに駅を作ってくれる。
うちは親父が古武道、お袋が料理教室をやっているので真下に駅があり。人の出入りも結構あるのだ。
従って俺は不便を感じた事は無かった。
しかも、田舎の農業星、列車の運転手さんも、直ぐに顔見知りになってしまう。
俺は何気無しに、地下鉄の駅のホームに立っていた。
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