運命の本との出会

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列車が来た、運転手さんは俺の顔を見てニヤリと笑った。俺は携帯を機械にかざした。 全ての支払いは電子マネーによる。親父又は家族名義の銀行口座から、自動で引き落とされるシステムだ。 特にこう言う公共料金は付けが利くので、別段気にする事もなく、平然と列車に乗れるのだ。 宮本の家の側まで2キロ以上はあるが、学生専用と違い、各駅停車の普通列車はのろい。 俺は、ほぼ誰も座っていない時間に乗ったので、長ーい、椅子にポツリポツリ座った所に、俺も4~5人分位、隣と空けて座った。 俺は兎も角、この星でこの時間に暇な奴とは、一体何の仕事をしているのだろうかと、余計なお世話だが、列車に乗っている人達を見回した。 二人は明らかに芸術家の様だ。あー、芸大に行ってる人もいるんだな。ガテンが行った。 そして、二、三人、女の人。妊婦さんの様だ、成る程。そして、スーツを着た人がちらほら。こちらは良く分からない、 まあ、農業星と言っても、農業以外の仕事も当然あるのだから、いても良いんだな。 俺はそんな、どうでも良い事を思いながら、宮本の家の側の駅で降りた。 奴の家はちょっとした集落で、5~6軒の家があるらしい。見知らぬ民家が遠くに見えたので。さて、どうしたものかと、携帯の地図を見た。 アクセス指示があり、走路で10分、地下を移動とあったので、再び地下に降り走路へと乗った。走路は駅の奥にあり、路線とほぼ平行に走っている。俺は、途中何度か降りたり乗ったりをして、指示された場所で降りて、階段を地上へと上った。 列車は地下鉄なので、地下深くを走っている。当然、エスカレーターもあるのだが、ガキの頃は体を鍛える為とか、訳の分からない事を言って、走って階段を上ったものだ。俺はもう年だし(そんな訳は無い)、エスカレーターでのんびり上がった。 地上は当然田園風景だった。確か、宮本の家も古武道の道場をやっていると聞いた。 この星の格闘技大会で地区代表として、俺は拳法で、宮本は剣術で出場した事があるので、知っていたのである。
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