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俺は宮本にそう答えた。弟君は黒帯とは言え、まだまだ技のバリエーションがない。
大会を何年もやって来て、修羅場を潜った俺の敵ではなかった。
とても鬱憤が晴れた気になった。ああ、こう言うのが欲しかったんだなぁと、宮本の気遣いに感謝した。
「どうするうちで合宿するか?まあ、お前さんの所より、Bエリアやアーチストの事は、ここの方が、分かりやすいと思うけどな」
「へぇー、何でお前さん、そんなに詳しいの?」
宮本は例によって、溜め息をつくと。
「受験生は中央星域のインフォメーションとアクセス出来るの。受験番号を入力すりゃ、アーチストの事も帝国軍の歴史なんかも、分かるようになってるんだぜ。
お前さんには、期待してないけどな」
「ハイハイ、俺は格闘技バカですよ」
そんなこんなで2週間後。宮本の家に厄介になることにした。
うちの親と宮本の親で話し合い、了解を得て。俺は後日、再び着替えや土産を持って、宮本の家へとやって来た。
「これ、どうぞ。お袋が渡せって言いました」
俺は小さな包みを、宮本のお袋さんに渡した。
「まあ、こんなことしなくて良いのに。
何かしら?」
とお袋さんは、その場で包みを少しだけほどいた。中には牛肉がこれでもか!と言う程入っていた。
「あら、良いわね。
今日は、すき焼きにでもしようかしらね」
とニコニコと台所へと入って行った。
俺は宮本の案内で、部屋へと連れていかれた。
「俺の部屋で良いだろう。最近まで弟と一緒だったんだが。俺の受験の妨げになってはと、別の部屋へ移った。だから、2段ベッドがあるから、ここで良いだろう?」
俺は、
「ああ」
と一言だけ返事をした。
部屋は6畳はあるしベランダもある。好きな時間に格闘技の技を練習するのも、可能かなと思えた。但し移動は無理だから、定式のみになるかな、などと思っていた。
「上で、良いよな」
宮本は、俺の荷物をベッドの上へと載せた。
体重はどう見ても俺の方が軽い、上でデカイ宮本が寝てるかと思うと、気が気ではない。
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