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「ああ」
俺は又、生返事をした。
「さてと、流石の竹田君も、借りてきた猫にみたいに大人しいな。
道場で練習でもないが、軽く汗流す?」
宮本がそう言ったので、さて、どうしたものかと考えた。
まだ昼間、今から練習などしたら、夜にはぐっすり寝てしまう。俺はむしろ夜、宮本と話などするのが楽しみで来たのだから。寝ちまってはしょうがない。そんな事を思っていた。
返事に窮している俺を見て、
「なんか飲み物でも貰ってくるわ。昼飯も近いしな」
と部屋を出ていった。
俺は一人になり、宮本の机や本棚を物色していた。アーチストについては、まるでなく帝国時代の古典小説が、いつくもあった。 すべて剣豪物だった。
「成る程ね」
俺が何気にジッーと見ていくと、大会の賞状や盾やら、小さなトロフィが飾ってあった。
「あっ、俺のはどうなっているんだろう。
まったく気にもしなかったが。
ああ、親父がこんなもので満足するな、と倉庫に全部投げ込んでいたな。まったく、
親としては失格だよな、あの人は」
俺は親父が嫌いな事に、気が付いてしまった。いやまったく嫌いと言う訳では、ないのだが、優しさが無い。
お袋には我儘が言えるし、親~って感じがする。まあ、父と息子なんて、こんなものかなと、感慨に耽っていた。
「何、見てんの」
宮本がトレーに、コーヒーセットを持って現れた。(へぇー、家でもコーヒーなんだ)
俺は宮本の家が、優雅な金持ちに思えてきた。
「親父さん、農夫だよね」
俺は疑問を口に出した。すると、
「いいや、家は代々軍人の家系だ。数人は農夫をしているが。親戚にも軍人が多い。
全部が全部、軍人に為れる訳でも無いのでな」
「へぇー、そうなんだ」
俺は初めて農夫以外の家に、来たような気がする。ふーん、軍人とも成るとこうなるのか。俺はつまらん事に感心していた。
俺は宮本の運んできたコーヒーを、見様見真似で、砂糖とクリームを入れて飲んだ。
カーペットの敷かれた床に座ると、俺はアーチストの質問をした。
「帝国の近衛兵て、アーチストは、一体、どんな装備を持っているんだ?」
宮本はテレビモニターの方を見て、
「説明すると長いな、見たが早い。そうだ、
キャプテンカイのシーズン1でも観るか?」
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