新宙拳とアーチスト

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と俺の方を見てニコニコ笑った。 何でキャプテンカイなんだ?と思ったが、道場で練習したり、座学で説明を受けるより 面白そうなので頷いた。 記録キューブを再生機に入れると、宮本はリモコンを持って、テレビから離れた。 二段ベッドにもたれ掛かり、二人はモニターを観た。 シーズン1からシーズン10まであった。宮本は迷わずシーズン1を選択した。 そこには注意事項がいくつか流れて、その中には、連邦の検閲が行われていると、書かれてあった。 時代劇ではお馴染みのものだが。 キャプテンカイも時代劇扱いなのかな? と思った。 第1話、外人部隊とあった。 (へっ、知らないなぁ~) 「ねぇ、これ、いつの作品?」 俺が宮本に聞くと小声で素早く、 「連邦暦、100年位かな」 と答えた。 (え~っ、200年前のドラマ?観た事ねぇや) 俺は古典ドラマの趣味がないので、最近のテレビドラマしか知らなかった。何より、外で暴れるのが楽しいのでテレビなど、ここ何年も観た記憶が無い。 「私の名はカイ、私には人に知られては、いけない秘密がある。しかし、その秘密が、 私の命を、救う事になるとは・・・」 と言う独白で始り。戦闘シーンが続いた、宇宙戦闘だ。驚いたのは、バラバラと宇宙空間に船から兵士が飛び出して、白兵戦を始めた事だ。 (バカな!こんな事は出来ないと、学校で習ったぞ) 俺は子供騙しの、その戦闘に興醒めした。 「おお、凄げぇ、凄げぇ」 宮本は興奮気味だった。そしてキャプテンカイが何処かの、地上基地にやって来るシーンが出た。まったく知らない俳優だった。 宮本に聞いた、 「これ、原作?」 「そうだよ」 一言、返事を返すと、荒筋を話してくれた。 「原作では、カイは帝国の近衛兵。 アーチストだったんだだよ。 そして、帝国の密命を帯びて、連邦軍の目を掻い潜り、辺境の地に新たな星域を見付け、帝王を脱出させる画策をするのだが。 その技能により外人部隊では無く、連邦軍に雇われて、味方のアーチストと対峙すると言う話さ。その葛藤が面白かったんだが。 帝国軍が正義的扱いをしているのが、当時の連邦政府に目をつけられて、色々難癖をつけられ。シーズン5辺じゃ、帝王の間抜けさに嫌気がさすなんてシーンも入っているよ。 悲劇のヒーローになって行くんだ」
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