新宙拳とアーチスト

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「ふーん、でも、今じゃ、子供向けの伝説の ヒーローになってるじゃん」 「まあね、200年も経てば、話も変わるわな。あ~、妹とか師匠とか友人とかの、スピンオフ作品もあるよ」 「えっ、そうなの。知らなかった」 「あはは。やっぱし、武芸バカだな」 宮本の解説の中、俺たちは4話ぐらい、3時間程、ジーッと観ていた。そこへ、 「あら、静かだと思ったら、テレビ観てたの? お昼よ、ご飯食べないさい」 と宮本のお袋さんがやって来た。宮本はビデオを止めると、 「行くか」 と立ち上がった。 昼飯は何と、パンとコーヒーとハムエッグだった。味噌汁ではなくポタージュスープ。 おいおい、どっかの金持ちのランチかい! と言いたくなった。 俺が手をつけずに、眺めていると、 「まさか、初めて何て、無いよな」 と宮本、 「ああ、学食で食った事あるよ。あと修学旅行や大会の時とか。しかし、お前さんち、やっぱし金持ちだな」 「あはは、んな訳ねぇよ。ただ親父が他の惑星に行く事もある仕事のせいでな。 こういうのにも馴れる必要があるんだよ。 この星域では米の飯が主流だもんな。 でも、パン屋だってあるんだぜ。 少々高いけどな」 「米が安過ぎるのさ。俺なんか親戚が霧の星にいるから、いつも米送ってくるぜ。 だから、買った事無いよ。お返しに、野菜やら小麦やらと送るのが大変だと、ぼやいていたけどな、お袋が」 「一緒さ。うちもこの辺は全て、親戚だから米買った事無いよ。今日は特別な昼飯なのさ」 「そうかい」 二人の会話を聞くではなく、お袋さんは俺達に、トーストやらサラダやらを、次から次へと出してくれた。 この星では米は造っていないが、まあ、親戚の親戚から、と言う意味だろう。俺はどうでも良い、あるある会話を聞き流した。 「ところで、俺達の敵って、何故アーチストなんだ。まだ、生き延びていたのか」 「うん、まあね。どうやらアーチストをかたる、海賊らしいぜ、親父の情報によると。 ほら、第1話で宇宙空間戦闘あったろ、白兵戦。海賊って、あんな戦い方をするらしいぜ」
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