新宙拳とアーチスト

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腕時計風の銃火器、対人レーダーとか、部分的個人シールドとか。形状記憶のナイフとか、 まるでスパイか忍者の様だった。 スパイ物なら良く観たものだ。連邦政府の密命を受けて帝国本星へ忍び込む、男又は女。忍者は格闘技物で良く観る暗殺集団の名前だ。 俺は正統派の武芸を好む戦士志向なので、憧れた事は無い。むしろ卑怯者的に思っていた。 友人には忍者に憧れる者もチラホラいたが。 アイテムが多いので、俺向きではなかった。 体1つが武器と言うのが、俺らしくて気に入っていた。 「ところで、アーチストってぇのは、帝国の言語で、芸術家ってぇ意味らしいよ」 宮本が何気無くそう言った。 俺は、えっ?どういう事と意味が分からず、キョトンとしていた。 しょうがねぇなぁ~、と宮本は、 「つまり格闘技が、芸術並に素晴らしかったって事さ」 「成る程、えっ?」 俺は相槌を打ったが、やっぱり理解出来なかった。 2~3時間観ていたが、シーズン1は終わる気配がなかった。宮本は画面の下に内容標示を小さく映して。シーズン1が25話ある事に気が付いた。俺も見ていたので顔を見合わせて、 「道場で、腹ごなしでもするか?」 と俺が言った。すると、 「そうだな」 と宮本は、テレビとビデオの電源を切った。 「道着持ってきたけど、使って良いのかな? ここ専用があるとか」 「いえいえ大丈夫。何でも良いよ、道着ならな」 まあ、中には自分達の道場に、他所の道着を着た者を入れないなんて、門派もあると聞くので、一応確かめてみたのだ。 「練習終わったら、すぐ洗濯機に入れなよ。 一時間で乾くから」 「ほう、スーパー洗濯機をお持ちとは。 流石、金持ち」 「必要性からさ」 「うちなんか未だに、天日干しだぜ。大家族なのに」 「あれが1番。それにうちは軍人だから。 人に教える事もあるので、直ぐに乾かして持たせて帰す、なんて事もしなけりゃ、ならないのでな」 「あ~、そうさな。うちは親父だけ4~5枚持ってて。兄貴や俺は1枚しかねぇもんな。 それで、十分だしな」
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