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二人は、そんな会話をしながら道着を持って、道場へと向かった。
更衣室があり、そこで着替えるのだ。流派によっては、親父に連れて行かれた、他流派の道場では、入る前に、みそぎと言う体を浄める作法をしなければ、道場に入れない所もあった。
まったく古武道と言うのは、形式が多くて疲れるものだ。
二人は礼をして道場に入り、軽く体を解すために体操を始めた。
まるで映画の決闘前のワンシーンの様で、自ずと血が熱くなってきた。
「では、新宙拳でもやるか?」
宮本が言った。
「お前さん剣術は得意でも拳法は、てぇした事無いだろう」
「ほう、そんな事を言った事あったかな?
俺の能力がいつまでも、以前と変わらないなんて、思ってもらっては困るね」
「ふん、良いでしょう、お相手しましょう」
俺と宮本は軽口を吐きながら、真剣な面持ちで向かい合った。審判はいないので、
「いくぞ!」
と宮本が号令をかけて、激しく撃ち込んで来た。俺が二郎君を追い詰めた、風車打ちから入って来た。ロングの間合いを詰めるのには、有効な技だ。
「ほう、中々やるねぇ」
俺は後退すると見せかけて、横へと捌いた。
宮本はそこから肘打ち蹴りと、次から次へと技を繰り出す。俺は一方的に攻撃を受けていた。
「優しいユカリ君は俺を気遣って、攻撃しないのかな?」
少々、息を荒げながら宮本が言った。
「では、それなりに」
と俺は猛烈に打って出た。
連打だ、大抵の奴はこれで仕留めるのだが。
流石、宮本、全てを防いだ。
「おーっ、素晴らしい。では、これでは」
と回し蹴りを3回。目が回りそうになりながら蹴った。
しかし宮本は最初の一蹴りを、かわしただけで、もう目の前にはいなかった。
俺は横目で宮本を追いかけながら、体を宮本に向けた。
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