新宙拳とアーチスト

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「へぇー、じゃ、アーチストの技も入ってんのかな」 「かもな、あ、そう言や本持ってきた? あれが新宙拳に入っているか、確めてみたら」 「そりゃ面白そうだが、300も見るの?」 「大丈夫、各パート毎に解説があるから、 大体想像がつくよ」 「そうかい、じゃ、部屋に戻るか」 二人は道着を洗濯機に投げ込み、シャワーを浴びて部屋へと戻った。 そして宮本は、親父さんの部屋からメモリーキューブを持ってきた。小さな正方形のガラスの様なものだ。3センチ掛ける3センチ位の物。内容は表面の色の濃さによって決まると言っても良い。どういう仕組みかは聞いたが、忘れた。何にしても使えりゃ良いのさ。 宮本は携帯と再生機を繋ぎ、何やら忙しそうに検索していた。 テレビ画面に現れたのは。 『アーチスト系の型4、対アーチスト系の型7』 とあった。 「では、アーチスト系より再生してみるか」 宮本がそう言ったので、床に本を拡げて、合わせてみた。 「違う、全然、まったく」 二人は次々と言葉を出しあって、言い合った。早回しで見ても、まったく違うのしか無かった。アーチスト系と言うから、変わったものか?と思えば基礎的なものや、船外機動戦闘員。所謂、外戦の予備練習の型が2、3あるだけだった。 対アーチストに至っては、まったく見るものも無かった。こんな型残す意味があるのか?と言いたくなった。 「駄目だ、ねぇ~よ。別の立ち技の型見る? 290はあるけど」 宮本が、溜め息交じりにそう言った。 「いや、良いよ。アーチストの型も300位あったら、当たるのは相当、難しいだろう」 「まあね、知らなくても、困る事はねぇよ」 宮本はそう言うとメモリーを外し、親父さんの部屋へと持っていってしまった。 俺達は仕方無く、キャプテンカイの続きを観ることにした。相変わらず大した技は出ず、俺の本からは、かけ離れていた。
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