恐怖のすき焼き

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早く呼びに来い!と俺達はキャプテンカイもそっちのけで、空腹を持て余していた。 「ご飯よ~」 と呼ぶ声に、二人は大喜びで、食堂へと向かった。親父さんと弟君が既に座っていた。 食堂ではなく、畳敷の居間に脚の短いテーブルを置いて、その中央に鍋がグツグツと、良い臭いを漂わせていた。 俺達は二人並んで座った。親父さんは上座に座っていた。弟君は俺達の対面に、その横にお袋さんが、オヒツやら野菜肉を置いて座っていた。 (やっぱすき焼きは、テーブルに椅子じゃ、気分でないよね) と俺はつまらん事に感心していた。 宮本は直ぐにテーブルの上にある、生タマゴを割って、コネコネ取り皿で掻き回していた。 俺も真似してやっていると、ご飯と味噌汁が、俺と宮本の前に置かれた。戦闘態勢充分であった。親父さんが号令を掛けた、 「では、皆座ったかな。はい、頂きます」 親父さんが手を合わせて、軽く会釈をすると、皆も、 「頂きます」 と食事を始めた。 肉は旨い実にいい。俺は肉とネギと白菜などを取り食べていた。すると、宮本が、 「お前さんちは、すき焼きは。きょう風、 エド風?」 と聞いてきた。俺は意味が分からず、 「なんじゃい、その、恐怖のすき焼きって?」 と聞き返した。弟がプッと吹きそうになり、 宮本は笑いながら。 「済まん、俺が悪かった」 と謝り、鍋をつついた。 親父さんはニコニコ笑いながら、 「竹田君の所でも、古武道を遣ってるそうだね。どんな流派なんだい?」 と軍人らしい質問をしてきた。 俺は失礼なガキなもので目も合わせず、 「いや~、大した事無いです。キソキソでうちの親父は、突きと蹴りしか教えません」 「ほう、しかし昔の達人は、1発の突きや蹴りで相手を倒した、と言うからねぇ~」 「はぁ、そんなもんでしょうか」 俺は意味が分からず適当に返事をした。 親父さんは更に、 「一慶には古流の剣術をやらせているが、 まだまだだ」 と言葉を切ったので、俺は、 「いえいえ、凄いですよ。彼の剣はまったく避ける事も攻撃も出来ない。強いのなんのって」
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