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落ち着いた感じの懐石料理店だった。
出雲が顔を見せると女将が出てきて「出雲はん。おこしやす。さあ、奥座敷を開けときましたさかいどうぞごゆっくりしてくださいね」と笑顔で言う。
出雲も「ああ、女将さん何時もすまないね」と嬉しそうに言う。
女将さんも笑顔で答える。
「今日は、とても可愛らしいお嬢様をお連れですな。出雲はんも隅に置けませんなあ」とクスクス笑う女将。
「おおきに」というと照れる出雲。
二人の会話を聞きながら、色白の顔を真っ赤にしている一葉。
通された奥座席は日本庭園の見える座敷だった。
二人は、運ばれてきた懐石料理を頂きながら、
「もう一度再度自己紹介を、え~と私は出雲龍一と言います。篠笛の演奏を生業としています。独身です。僕とお付き合いをして頂けませんか」と真っ赤な顔をして言う出雲。
一葉は、その言葉を聞いて嬉しく思った。
「はい、よろしくお願いします」と恥ずかしそうに俯きながら答える。
こうして二人の付き合いが始まった。
出雲と一葉はお互いに穏やかな時を過ごしていた。休日には映画を見たり、水族館や、動物園、神社仏閣でデートを重ねて行った。
「一葉、私はとても楽しいです。一葉はどうですか」と出雲が眼鏡の奥の瞳を輝かせながら聞く。
一葉も微笑みながら答える。
「ええ、龍一さん私もとても楽しいです」
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