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そんなある日、篠笛の演奏会が岸和田のお祭りでおこなわれることになった。
その日は丁度休みだったので、一葉は岸和田まで出雲の演奏を聞きに行く事にした。
出雲と付き合い始めて、一葉は出雲の演奏を聞きに行くのが楽しみの一つになっていた。
岸和田のお祭りはとても熱気にあふれていた。
お囃子もとてもテンポよくリズミカルなものだった。
いつも演奏が終わると、二人で食事に行くのが恒例になっていたのだがその日は一寸違っていた。
一葉が出雲の所に行くと、真っ赤な唇に派手な浴衣を着た美しい女性が、出雲に絡んでいるのが見えた。
一葉は、その女性の顔を見て顔をこわばらせた。忘れもしない、あれは出雲と付き合い始めたころだった。
一葉は、出雲の演奏に休みが合えば必ず聴きに行っていた。
そして大阪の会場でであったのが恵子だった。出雲の周りの人から恵子は出雲の追っかけをしていると聞いたのだが、かなりしつこく付きまとっているらしく。
一葉が出雲と付き合っていると聞くと、つかつかと一葉の所まで歩み寄りじろじろと見て値踏みをした後「あんた、出雲さんと本当に付き合っているの。だめよ、出雲さんは私のものだから、それにまだ、抱かれていないのね。うふふ、本当に出雲さんあなたの事が好きなのかしら。出雲さんにすぐに飽きられて捨てられるのがおちよ。私はね出雲さんとは深い中なのよ。どちらが愛人になるのかしらね。」と言うとその場を離れた。
そして、「出雲さん」と呼びながら、出雲の所へと駆け寄っていく。
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