「これ、借ります」

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―――――――――――――――― 開館直後の午前八時過ぎ ―――――――――――――――― 「これ、借ります」 王子がやってくるのも、相変わらずのこの時間帯だった。 「図書カードをお願いします」 ドキドキしながら対応する私は、本のタイトルに目を向ける。 『出世する人、しない人~出世する人は○○だった!~』 最近の王子は、こんな本ばかりになっていた。 出世を意識しはじめているのは確実。 そして二冊目 『なぜ同僚が出世できたのか?良いひと=出世とは限らないワケ』 同僚は出世したらしい。 うーん、悩ましい。悩ましい。悩ましい‼ 私は、もどかしさを感じながら、バーコードを読み取った。 ―――――――――――――――― 昼休みになり三十分が過ぎた頃 ―――――――――――――――― 「これ、借ります」 相変わらず、毎週昼休みにやってくるハゲおやじ。 妻との熟年離婚問題は、どうなったのかというと
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