2人が本棚に入れています
本棚に追加
――――――――――――――――
昼休みになり三十分が過ぎた頃
――――――――――――――――
「これ、借ります」
借り出しカウンターにやってきたのは、メガネに痩せ型の男性。
「図書カードをお願いします」
『LGBT社員への接し方~理解が求められる時代に~』
『LGBTとは?』
「僕じゃないですよ」
バーコードを読み取っていると、ふいにメガネくんが言った。
「同僚にいるんです」
顔を上げた私に、彼は暗そうに話す。
なんと答えて良いかわからない私が黙っていると、メガネくんは一礼してカウンターを去って行った。
――――――――――――――――
閉館直前の午後七時五分前
――――――――――――――――
「これ、借ります」
その綺麗な声に、私は思わず顔をあげた。
って、顔も綺麗!超美女!しかも小顔だ!
「図書カードをお願いします」
私が図書カードの名前を見ると、彼女はサエコという名らしい。
そんな彼女が借りる本は――
『彼の心を掴む💕恋に効くレシピ』
『片想いが両想いになる❤恋占い✨』
・・・。
ていうか、サエコ(勝手に呼び捨て)でも片思いなんだね。。
サエコなら、振る人なんて、いないと思うけど?
なんて思いは口にせず、私はバーコードを読み取った。
最初のコメントを投稿しよう!