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「いいよ」って言ったら、この苦しみから解放されるのかな?
でも……
僕は「ごめん」と頭を下げた。
他の誰かじゃダメなんだ。京介じゃないとダメなんだ。
「好きって言ってもらえて、すごく嬉しかった。
今、弱ってるからさ、ちょっと揺れたのは確かなんだ。
でも、僕はやっぱり京介が好きなんだ。
京介じゃないとダメなんだ。
だから、ごめんなさい」
「そっか」
とイケメンは悲しそうに呟いた。
「でも、俺も君じゃないとダメなんだ。だから、せめて側にいさせてよ」
ぐっと掴まれた腕がすごく痛くて、彼の思いの深さを感じる。
アザになるかもな……ってぼんやりと思った。
「いいよ」
残酷な答えなのかもしれない。
でも、僕も辛くても京介の側にいたいと思うから。
側にいることさえ禁じられたら、辛くてどうしたらいいのか分からなくなるから。
「じゃあ、改めて。
俺は、長瀬 類(ながせ るい)。
三条君と同じ3年だよ。よろしくね」
「あ、よろしく」
僕たちの学校は1年から進路別に別れているから、3年間クラス替えがないんだ。
だから、違うクラスの生徒は出身校か部活が一緒でない限りほとんど知らないんだ。
「三条君、連絡先交換して。いいかな?」
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