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気がつくと、類が隣でスヤスヤ眠っていた。
そうだ、僕……。
思い出すと恥ずかしくて、どこかに逃げてしまいたくなる。
そっと類を見ると、幸せそうな顔をしている。意識を失う前に見た少し辛そうな切羽つまったような、色気のある男の顔が忘れられない。
あんなの見たら誰だって一発で恋に落ちるよ。
それでなくても、ライバル多いのに。
そんなことを考えていると、類がモゾモゾと動いた。
うっすらと目を開けて僕を確認すると腕を伸ばしてぎゅっと抱き締めて、満足げにまた眠ってしまった。
類の香りに包まれてトクントクンと打つ規則正しい心臓の音を聞いていると、僕も眠ってしまった。
あれ?
次に目覚めると部屋は真っ暗で、隣には誰も居なくなっていた。
途端に不安になる。
「類……、ねえ、どこにいるの?」
泣きそうになりながら類を呼ぶと、部屋のドアが開いて類が入ってきた。
「真弘、なんで泣いてるの?
どこか痛い?」
駆け寄った類の服を掴んで、やっと安心する。
「良かった。類がいないから……」
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