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「もう、泣かすなよ」
大貴(だいき)が京介に文句を言いながら抱きついてきて、頭をナデナデしてくれる。
ああ、大貴だ。
試合でミスした時、京介の事で落ち込んでいる時、テストの成績が良くなかった時、いつも大貴が慰めてくれたんだ。
こんなに救われていたのに何で気づかなかったんだろう。
大貴は明るく茶化しながらも、僕の気持ちに一番に気づいてくれていたのに。
「大貴と離れるの寂しいよ」
僕も大貴を抱き寄せる。
「俺も。真弘と離れたくないよ」
「大貴ー」
「真弘ー」
盛り上がっている僕たちを容赦なく引き剥がしたのは、やっぱり京介だった。
「はいはい。涙の別れは式の後にしてくれる?
もうみんな廊下に並んでるから」
えっ……
僕たちが出ていくと、他のクラスの人もみんな廊下に出ていた。
神妙な雰囲気にごくりと唾を飲み込む。
本当に最後なんだ。
気持ちを引き締めて、みんなの列に加わった。
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