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いつもは長いと感じる校長の話も、よく聞くと結構いいことを言っていてちょっと感動してしまった。
式が進むにつれて、女子が鼻をすんすんする音が増えていく。
在校生の歌になると、男子も泣き始めた。
あれ、僕って天の邪鬼なのかな。
周りで泣かれると、さっきまで感じていた悲しさがスッと引いていってしまった。
キョロキョロしていると京介と目があった。京介は大泣きしている大貴を指差して、笑いをこらえている。
こうやって京介と目を合わせるのも最後なんだ。
僕たちが勉強している間もひたすら野球に打ち込んできた京介は、前よりもがっしりしたような気がする。
苦しかった片思いは、類によっていい思い出に変わった。
あの時類に声をかけられなかったら、僕はどんな気持ちでこの日を過ごしたんだろう?
たぶん、京介と離れるのが辛くて、それを出さないようにするのに必死だったんだろうな。
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