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施設の玄関前では、世話になった医師や理学療法士、看護師たちが見送ってくれた。
社長も丁寧に頭を下げ、ひとりひとりに礼の言葉を口にしている。
横づけにされたワゴン車に車椅子ごと社長を乗せて車椅子を固定し、僕はすぐ脇のシートに座った。
施設の広い敷地を出て、車が新しい家に向かう間、窓の外を流れる郊外の風景を見ながら、自然と考えごとに落ちていく。
ミシェルは罪をすべて自分の身に引き受けるつもりだったのだろう。アンジュの長年の恨みを代弁する形で、自分が社長を撃った。
撃たれた直後に知ったことだが、アンジュは10歳で引き取られてからずっと、養父となった社長に強要され、仕事上の客を相手に特別な接待をさせられてきたそうだ。
社長はミシェルが身を持って訴えたことでそれまでの自身の行いを深く悔やみ、ついにアンジュを解放したのだが。
もちろん、11年に渡りアンジュに対して犯してきた罪は、正しく償われるべきだろう。
社長自身も、そのことは十分に了解している。
もともと、撃たれる直前には、社長はもう、アンジュに謝罪をして解放するつもりだったのだから。
それがあと一歩で間に合わなかったのだ。
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