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「あんまりそういう気分じゃないの」
「そっか、わかった」
返事を聞くとすぐ奥の部屋に脱いでいた服を運んで着替えた。
新しいワンピースを見られたことがショックだった。
いつかこのワンピースを着たらいいのに、と言われる。
それが不本意だとうまく説明できないからうなづくことになる――そこまで想像してうんざりした。
「別に見せたくて買ったんじゃない……」
篭囲さんが閉めてあるドアのそばから「どういう意味?」と訊いてきて一瞬言葉が出てこなかった。
間が空いたものの「自分が好きで買ったから」と答えると「そっか、じゃあオレとも服見に行かない?」と訊かれた。
「……なんかね、今言っちゃうのも馬鹿みたいでホントはねきちんと顔を見て言うべきなんだけど」
「何?」
「なんか、私、人形扱いされてるみたいで服を選んで着て欲しいって言われるの嫌。
その服着て街を歩くのもっと嫌い」
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