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―――軽快な旋律を響かせクラッシック音楽が流れる中、小野 静也(おのしずや)は客席にコーヒーを運び
それをテーブルへ置くと「ご注文は以上でよろしいでしょうか?」と客へ訊ねた。
女性客は彼の顔を見て頬を染めて「はい」と答えた。
そのすぐ手前の席では店員である瑪瑙 閑(めのうかん)が若い女性客二人をナンパしていた。
閑の職務怠慢を目にした雪村紅箜(ゆきむらくく)はそばまで行くと
「失礼します。瑪瑙がご迷惑をおかけしてすいませんでした」と一礼し閑の腕をぐいとつかみ客席から引き離した。
このカフェは若い女性客が多い。
けれど立地場所は複雑な細い道を抜けた路地裏な上、店の内装も渋い純喫茶を意識したものだ。
ほとんどの女性たちの目的は明らかに顔よし、爽やかで身のこなしも美しい小野の接客だった。
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