心の中の靄(もや)

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―――篭囲さんは優しい。 始めからずっと。でも強引なところは好きじゃなかった。 問題といえば彼の嫉妬が無実の男性陣にも向けられてしまうことと愛し合っている最中だと長すぎてもうやめてと伝えても全然耳を貸さない点だ。 彼と付き合い出して以降〈愛してる?〉って訊くのが怖くて出来ない。 私は付き合い出した時にきちんと好きだと言えないような気持ちだったから……。 でも本当は訊きたい、結局、私を失うのが怖いから優しいだけなの? 無理して自分をよく見せようとして、突然別の男にかっさらわれてそれまで耐えてきたのが無駄になるなんて耐えられないって考えなの?だから束縛したがるの? 私のこと、ほんとはただ好きなんじゃなくて自分の理想の女性へもっと近づけていきたいと思ってるの? 馬鹿馬鹿しいとは思う 彼から会ってすぐにつきあいたいと言われた 次に会った時、劣情を隠して会う方が不誠実だとホテルへ誘われた そして会うたびたまらなく好きだって表情で教えてくれている、それなのに 自分が愛されているのか、見た目が好きなだけなのか疑うなんて―――。
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