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この日、篭囲は紅箜の家に泊まっていった。
紅箜は篭囲との交際を順調だとは感じておらず妙な焦りを感じていた。
――篭囲さんの愛情が少し形を変えてくれたらと思うものの重いとは思わない。
強引な篭囲さんに押しきられた形で交際したせいで自分はこの人を好きだから受け入れたのか、
それとも瑪瑙さんを諦めるために次の人へ気をそらしてしまったのか自分の思いのはずなのにわからなくなってくる。
―――――――
瑪瑙さんが男性を紹介すると言い出した時「友人の中でもくくちゃんにだからこそめっちゃいいやつを紹介する」と言われた。
その言葉を真に受けまいと思った。
そして不本意ながら顔を合わせた篭囲さんは会って会話もそこそこに「交際したい」とはっきり言った。
困るというより私のどこを気に入ったのかがわからなかった。
もう少し人となりを知らないと答えようがなかった。
結果的に顔を合わせたのが三度目の時観念した。
その前に愛情とまで言えない気持ちのまま境界線を越えていた。
自分の意思を確かめられ事に及んだものの向こうのペースに引きずられたことを後悔した。
後からどんどん悪い想像ばかり浮かんで恋愛に辟易(へきえき)してしまう。
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