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静也は桐子の目を見ると彼女の両肩をつかんだ。
「まずデータ保存をしろ!」
気迫に負け桐子は返事が出来ずにコクコクとうなづいた。
※
紅箜は常連客の女性にコーヒーを運び一礼したところでその女性から立ち入った質問をされた。
「瑪瑙君が本命の女性はいないって言ってたんだけどそれじゃあなたって彼のなんなの?」
紅箜はやわらかく微笑むと「大切な仲間です」と答えて彼女のそばを離れた。
彼女は紅箜の背中を見てぽつりと「だったら瑪瑙君、落とせるかな」とつぶやいた。
店主は紅箜を手招きし「なあ、二号店を作ってそこで瑪瑙を雇ってもお前は文句はないんだよな?」と訊いてきた。
「……お店をあてがって彼を一人の店で独立させるんですか?」
「コーヒー専門で豆の販売もできればと思っている。
菓子くらいは出してもランチはなしで」
「ランチなしでは瑪瑙さんのよさを潰しませんか?
あの人、特別豆に詳しいわけではないし、子ども連れのお客さんの扱いがうまいのに」
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