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紅箜は帰宅するとシャワーを浴び、ボディークリームを塗った。
ベージュの安くて地味なワンピースを着て最低限のメイクをすると家を出た。
紅箜の恋人は、はっとするほどの美男子だが紅箜より他に交際らしい交際を女性としたことがないという男だ。
その理由を聞いた時、紅箜はまだ彼を好きではなかった。
付き合ってから嫉妬なのか征服したい欲なのか「男と仲良くしないで」と言われ束縛のきつさには少しも慣れない。
篭囲は待ち合わせ場所に先に来ており紅箜は満面の笑顔で駆け寄った。
彼は彼女に気づくと手を振った。
「今日はあんまりおしゃれじゃないね、どこか入りたい店でもあるの?」と訊かれ紅箜は「△△のところのガス◯」と即答した。
「わかった」
すんなりOKを出し歩きだした篭囲に紅箜は腕を絡めて「私、自分が働く店の軽食好きだから今夜もあんまりお腹空いてなくてごめんなさい」と言ってみる。
篭囲は笑って「最近ずっと高くて落ち着けるようなところに行きたがらないから今日こそ強めに主張するつもりだったけど手抜きの格好見ちゃうと連れていけない」と返した。
「今度は気を付ける」
そう答えつつ紅箜は胸を撫で下ろした。
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