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「くくちゃん、あんまりひどい扱いしたら寛(ひろ)怒るよ」
閑が話に混じると紅箜はしらけた顔をした。
「……瑪瑙さんには関係ありません」
「聞きたくて聞いたんじゃないけど小野もそういう話題は酔ってる時にしてくれよ、素面(しらふ)でお姉さまに恋愛哲学聞いてどうすんの」
「はあ、そうですね」
よくよく考えれば雪村さんの彼氏はめちゃくちゃ束縛が激しいのにチャラい瑪瑙さんと同じ仕事場で平気なのか不明だ。
けっこうな失言だったに違いない、静也は閑が言わないことまで察していた。
静也が気まずさからコーヒーの豆を取りに動くと閑は「雪村も小野が純粋だからってべらべらしゃべるのどうなんだよ」となじった。
「ごめんなさい。ただ小野君、弟みたいな感覚だから」
その申し訳なさそうな顔を見て閑は(先に小野によけいなこと言ったのオレだし)と反省し紅箜に返事をせずテーブルをふきに行ってしまった。
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