プロローグ

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   明るくポップな印象のミーティングルーム。それとは対照的に、会議の内容は重々しい雰囲気である。室内の誰もが、苦々しい表情を浮かべ口数が少ない。  一方でモニター内の社長らしき人物は、叩けつけるような勢いで言葉を並べ立てている。  日本語訳すると、このようになる。 『コストダウンし、利益を上げるのは当然の使命だろう。このような当たり前の事、何度も言わせないで欲しいものだ』  解釈する側の問題もあろうが。決して重役らしき人物は、そのような言い回しはしていない。むしろスラングと言おうか、差別的言語を織り交ぜ激しく言葉を発している。  それをそのまま日本語訳すると、あまりに酷い言葉の羅列で聞くに堪えないだろう。  室内の面々は、その辺りの解釈をストレートに受け取れる程の英語力がある。その為に、強烈な単語の直後には目元が痙攣する者もいた。  それに対し、応じるのは一人の女性であった。
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