プロローグ

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   巨大なモニターの真正面に座した彼女は、凛とした佇まいの細身の女性。その服装からも、キャリアウーマンと見て取れる「出来る女」そのままの人物。  重役らしき人物の機関銃のような口撃に、ゆっくりと立ち上がる。  年齢的には、決して若いとは言い難い。しかしながら、中年女性と称するには気がひける年齢であろう彼女。状況や立ち振る舞いからして、この室内における最高役職を担う人物と見られる。  そんな彼女は、少々声を震わせながら答えた。 「確かに、おっしゃる通りです。しかしこれ以上のコストカットは、実質的に不可能です」 『君の判断など、どうでもいいのだ。こちらの命令に従ってもらう為、日本支社のトップを任せたつもりだったのだが」 「ですが、今回のフェアは国産高級食材の限定メニュー。自社工場では、生産していない食材です。当然ながら、この為に特別に仕入れを行いますのでコストは高くなります」
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