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外に出たものの、どこ行こう?
別に行きたい所はないんだよなぁ……取り敢えず辺りをブラブラしてみっか。
アジトの近くは森だ。
森としては小規模なんだが、天を目指して伸びきった木々の枝葉が日光を遮るため、昼間でも薄暗い
夜になるとさらに暗くなって視界がものすごく悪い。
まぁ、
慣れてくれば平気なんだけどね。
一応俺『盗人』の部類だし……
……。
『盗人』か……最初の頃──盗みを始めた頃、抵抗はなかったって言ったら嘘になる。
そりゃぁ、やり始めは罪の意識を感じていた。
でも、
ヘマをして捕まりたくなかったし
皆を助けて養いたかったし、
なんとかして生きたかったし……
だから評判の悪い奴らから盗んだ
そうすることで、自分は『正義の味方』なんだと思ってた。
……。
それって今思うとかなり恥ずかしい。
勘違い野郎だな、俺って。
盗みを働いた時点で『正義の味方』も何もないのにな。
馬鹿だったなぁ……今も馬鹿だけど……。
でも、そう思わないとやっていけなかったんだ。
……。
最近気付いたんだ。
盗むことに慣れているそんな自分がいることに……。
そして、そのことを上手く割り切ることができない自分がいることに……。
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