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タツキの、絶対は存在するかわからないという言葉を、痛感する。
タツキは、私のそばにずっといてくれると思っていた。当たり前のように結婚して、当たり前のように子供を産んで、当たり前のように一緒に年老いて。そんな未来が絶対に待っているだろうと、息をするように思っていた。
私がタツキを好きなことはきっと変わらない。生涯、変わらない。……でも、タツキがそばにいるという未来は、もうなくなってしまった。
このやるせない思いを、どうしたら解決できるのだろう。
私には、一つの解決策しか浮かばない――。
そろそろと思い、帰ろうとしたら母が紙袋を持って玄関に出てきた。
「これ。包んだから食欲があるときに食べなさい」
「ありがとう、お母さん」
優しさが、じくじくと心に沁みる。声には出せなかったごめんねを、心の中で一言付け足した。
「あと、タツキくんから。“ミユの笑顔が、何より好きだ。一番大切な場所で会おう”って」
タツキの最後の伝言を聞いて、私はその言葉を頭の中で反芻していた――。
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