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もちろんタツキが遅いと私が料理を作る。私たちのルールは、仕事終わりが早かった方が夕ご飯を作る、というものだった。
「ただいま」
「おかえり」
ドアが開く音がすると、私は玄関までタツキを迎えに行く。もちろん、私が帰って来たときもタツキは玄関まで迎えに来てくれた。そして、必ずタツキは出迎えた私に一つのキスを落とした。これが、私たち二人の習慣だった。
「ねえ、お風呂にする?ご飯にする?それともわ・た・し?って新婚さんの定番のヤツ、いつやってくれるの?」
「新婚さんじゃないからやりません!!」
ふざけてそんなことを言うタツキに、毎回ドキドキさせられているのを、多分タツキは分かってやっている。私の反応を楽しんでいるに違いない。
……いつか、不意打ちでこれをやってタツキをドキっとさせてやる、と心の中で思いながらも、私の心臓はまだそれをできるほど強くはなさそうなので、いつの日か実行できるように願っておこうと思う。
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