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後ろから、少し低めで優しそうな声が聞こえた。
「あっ、ごめんなさい!」
慌てて、端により頭を下げた。
茶色いローファーが私たちの前を通り過ぎて行った。
それと同時に、なんとも言えないとてもいい香りがした。
頭を上げて香りを辿って前を見ると、茶色いローファーのふわふわした髪の男の子が桜の絨毯の上を歩いていた。
まるで、ピンク色の絨毯の上を歩く天使の様だった。
「ゆっ、優梨奈!今の人すごくいい香りがしたね!それに、なんだか天使みたいだった!」
「天使って…。確かにいい香りはしたけど、あんたは顔を見たの?」
「顔は見てないけど…。でも、後ろ姿は天使みたいだったよ!
とっ、とにかく!早くあの天使さんを追おうよ!見失っちゃう!」
気が付けば、私はさっきまで怖がって入れなかった高校の校門を軽々と飛び越えて桜の絨毯の上を走っていた。
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