第1章 桜

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「あれっ、見失っちゃった…。」 走って追いかけたはずなのに、私はあの天使さんを見失ってしまった。 「ちょっ、ちょっと!未智!あんた走るの速すぎよ!」 優梨奈が息を切らしながらやって来た。 「あ、優梨奈ごめんね? でも、天使さんを見失っちゃったよ…。」 「大丈夫よ、同じ学校なんだし。」 「そっか…。そうだよね!」 同じ学校なら、また、会えるはずだよね? 「あっ、未智!クラス表貼られてる!」 「本当だ!えっと、私の名前は…。」 1組、2組…あっ、3組だ! 「優梨奈!私3組だよ!」 「私も3組!」 「本当??よかったー。優梨奈がいないと不安だらけだったよ。」 3組の名簿の中には 伊藤 優梨奈 村崎 未智 の名前があった。 「私も未智と一緒でうれしいよ!イケメンがいると いいねー!」 「そうだね!ついでに、あの天使さんも同じクラスならいいのになー…。」 「そんなにイケメンだったの?」 「えっ!ううん、顔は見てないからイケメンかどうかは…。でも、声は優しそうだったよ! あーあ、あれが運命の出会いだったらよかったのに。」 「そうなの?私、てっきりイケメンだからあんたが気になっているのかと思ったわ。声はあんまり気にしてなかったしねー。でも、大丈夫よ。もし未智とその、天使さん?が運命で繋がっているなら、またどこかで絶対に会えるわよ。運命ってそういうものでしょ? 案外、本当に同じクラスなのかもよ!」 そうだったらいいな…。 そんな淡い期待を胸に私たちは3組へ向かった。
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