第1章

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 確かにねー。 でも、うまく行かなくて落ち込んでいる人 に、何もしないのは、厳しくない?って、 私は思うんだけどな。  そんなことを考えながら、2人で歩いて いると、急にあさひが黙りこんだ。 「どうしたの?」 私が聞くと、やっぱりあさひはお金のこと を言い出した。  ちょうど私も同じことを考えていたから、 さっき考えていた事をあさひに理解して欲 しくて、一生懸命説明したけど、あさひは 受け入れてくれなかった。  あさひが言うには、 「紗季の言いたいことは良く分かる。 最悪ホストのお金が返金されなくても、 それは仕方ない。  もしも返金されなければ、他の方法で 生活費を用意しないと、正直あさひ一人で 二人分の生活費は面倒見られない」 って、事だった。  確かにアパートに来て2週間以上経つけ れど、私は生活費をまったく渡してない。  かろうじて、自分のお小遣いは自分で なんとかしてるけど、家賃や朝晩の食費、 コインランドリーのお金なんかも、全部 あさひ持ち。  申し訳ないとは思うけど、余分なお金は 全然ないし、月の仕送りも昼食とお小遣い で、むしろ足りないくらい。  だから、お昼はなるべくお弁当を持って 行くようにしてるけど、そのお金はあさひ 持ち。  だからって、お母さんにアパートに移っ たから、家賃を増やしてって言うことは 出来ない。
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