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「さっきから様子がおかしいけどなんかした?」 「……いや、何でもないよ」 彼はそっかと言って、ビールを飲み干し、缶を潰した。 ひしゃげた缶を見つめながら、彼はポツリと呟く。 「俺は何になれるだろうか」 独り言なのか、私に投げかけた言葉なのか分からない。が、私もその気持ちはよく理解できる。  就活は、今までとは違う誰かにならないといけない。社会に認められる誰かなのか、企業に認められる誰かなのか。私たちは社会の歯車の一部となって、動かなくてはならないのだ。  でも、その一部にもなれず、はじき出され続けている私は一体何者になれるのだろうかと、考え込んでしまう。         就活は、ゴールが決められていないマラソンを走るようなものだと、キャリアセンターの職員が言っていた。いくら走っても、ゴールは見えない。今になって、その意味がようやく分かった気がする。 「俺さ、就活とかおかしいと思うんだよね。だって、頑張っている奴が評価されないで、適当な奴らが評価されちゃんだよ? なんかニートになる人の気持ちが分かるわ」 「だから、やめたくなったんだ」 「そういうこと。理不尽なんだよ世の中」 呆れたように彼は言う。  彼がプライド高い部類の人間だと知ったのは最近のことだった。
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