母と私のラプソディー(見守り地蔵の秘密)

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 ◇◇◇  母と二人で交差点に立った最後の日、子供たちを渡し終えてから母が言った。  「大事な話があるんだけど、ちょっとだけ付き合ってくれないかね」  「いいけど、何?」  「好美。こっちへ」  母はそう言うと、私を交差点の脇に立つ小さな地蔵のところに連れて行った。地蔵の周りには夏草が生い茂るっている。  母は、小さな地蔵の前に立ち、手を合わせ、しばらく念仏を唱えた後、地蔵の後ろ側に回り込んだ。私も、母と同じように地蔵の前で手を合わせ、後ろ側に回り込む。  すると母が、地蔵の背中を指さした。  「ここに何か見えるだろ?」  確かに、よく見ると、地蔵の背中の真ん中に、丸い継ぎ目が見える。ちょうど地蔵の背中に穴を開けて、その穴と同じ大きさの石で(ふた)をしたような感じだ。蓋の中央には石を削って開けた通し穴があった。 .
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