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強い衝撃を受けながらも、二人とも反射的に逃げた。
捕まったら、きっと岩男に撲殺されて、丁度いい大きさに切断されて、あの大きな鍋で煮込まれてしまうんだ。そして魔女と岩男のディナーになる。そんな根拠のない恐怖を妄想する。走りながら振り返ると、魔女も岩男も追いかけて来てはいない。
「煮込んでたの何だろ?」
自分でも何でそんな意味の無いことを言ったのか分からない。
「知るか!戻って確かめてみれば?」
「嫌だ!無理!」
いいかげん息が切れてきた。
「お腹空いたんじゃないの?」
「疲れた!帰ってすぐ寝たい」
「帰れたらね!エレベーターは?無くなってない?」
無くなっていたら元の世界に戻れなくなってしまう。この場所は普通じゃない。何が起きてもおかしくない。橋を渡るとドアが見えた。
「あった!」
私達はドアの方へ全力で走った。エレベーターの中に駆け込むと、慌ててボタンを連打した。自分で言うのも何だが、私達がこんなに取り乱すのはそうない事だ。
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