第4章 花火

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[廿壱] オヤジとオフクロの青春時代かぁ……。 ちょっと嬉しかった……でもちょっと不気味だけど。 オヤジとオフクロってどんな高校生だったんだろうか? 安藤さんに少し聞いた事はあるけど、想像がつかない。 でも、今さっき、それを少し垣間見た気がした。 安藤さんが言っていた「お前のお母さんは美人だったぞ」は少し分かったような気がした。 オヤジもそれなりにカッコ良かったと思うが……今は誰もそんな事は言ってくれない悲しい中年だが……。 今日は花火よりいいものが見れたような気がする。 でもなんで宏美もそれが見えたんだろう?それもちょっと不思議。 花火は小一時間ほどで終わった。 近所の人たちは三々五々金星台から降りて下界に戻って行った。 僕たちのBBQも終わりかと思ったら、冴子のお父さんが持ってきた発電機が唸りをあげて小屋に照明がともった。 どんだけこの大人たちは準備が良いんだ? 花火が終わった後も宴会が続く。 オヤジ達はまだ酒がある限り飲むつもりだ。 「持って来たものをまた持って帰るのは嫌だ」 とオヤジは言っていたが、そもそもオヤジは手ぶらで来ていただろう? 僕たちはそれはそれで楽しいので全然かまわないが……。 それでもお開きの時は来る。 「そろそろ良い子は寝る時間」というお決まりのフレーズがオヤジの口からでた。
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