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[四]
「はい。いつも父がお世話になっています。藤崎亮平って言います」
僕も精一杯の常識的な息子を演じようと頑張った。
「僕はお父さんのサラリーマン時代からの後輩でず~と一緒に仕事をやってきたんやけどね。本当にお父さんにはお世話になってん」
と言って僕に頭を下げた。
「この人なぁ、一平がサラリーマン辞めて起業したらついて行った酔狂な人や」
と安藤さんが教えてくれた。
「酔狂な人はもう一人ましたけどね」
大迫さんはそう答えて笑った。
「そうなんですね。父と一緒に仕事をしてくれてありがとうございます。そんな人に来てもらえるなんて父も草葉の陰で喜んでいる事でしょう」
と僕は応えた。
何故かこの人にはこういう返事をするのが良いように思えた。
「いや、まだ死んでいないし……」
大迫さんはそう突っ込むと
「流石、藤崎さんの息子やな。」
と大笑いした。
なにが流石なのかは分からないが、どうやら受けたようだ。すべらずに済んで良かった。
安藤さんがアイス珈琲を大迫さんの前に置きながら
「まあ、藤崎の息子だからね。この頃、オヤジの影響が大きいからな。」
と笑いながら言った。
「そうなんですね。」
と大迫さんも笑いながら頷いた。
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