第5章 部下

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[七] 「へえ~」 ちょっと驚いた。 「『仕事は時間でするもんやない!中身や。』それが藤崎さんがいつも言っていた事やったな」 「普通、後輩は先輩や上司の真似をするもんだが、あの人の真似だけは出来ひん。誰も出来ひんかった。だから参考にも見本にもならん人やった。」 なんだか、わがオヤジは凄いサラリーマンだったようだ。 「でもね。いう事はいちいちまともで理論的だった。ただそれは普通の営業マンには気がつかない事が多かったけどね。」 「そう言えば、こんな事もあったな。」 と大迫さんが語り出した。 大迫さんは沢山オヤジのネタを持っているようだ。 なんだか他人から聞くオヤジの話は新鮮で面白い。「今日は良い時にこの店に来た」と思った。 話はこうだった。 その当時オヤジが勤めていた会社は3か月ごとに営業目標の売り上げ数字を営業所の会議で決めていた。 その数字を決める会議中に、ある3年目に入ったばかりの社員がいた。 彼は入社以来一度も目標数字を達成した事が無い社員で、その月からオヤジのチームのメンバーになっていた。
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