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[七]
「へえ~」
ちょっと驚いた。
「『仕事は時間でするもんやない!中身や。』それが藤崎さんがいつも言っていた事やったな」
「普通、後輩は先輩や上司の真似をするもんだが、あの人の真似だけは出来ひん。誰も出来ひんかった。だから参考にも見本にもならん人やった。」
なんだか、わがオヤジは凄いサラリーマンだったようだ。
「でもね。いう事はいちいちまともで理論的だった。ただそれは普通の営業マンには気がつかない事が多かったけどね。」
「そう言えば、こんな事もあったな。」
と大迫さんが語り出した。
大迫さんは沢山オヤジのネタを持っているようだ。
なんだか他人から聞くオヤジの話は新鮮で面白い。「今日は良い時にこの店に来た」と思った。
話はこうだった。
その当時オヤジが勤めていた会社は3か月ごとに営業目標の売り上げ数字を営業所の会議で決めていた。
その数字を決める会議中に、ある3年目に入ったばかりの社員がいた。
彼は入社以来一度も目標数字を達成した事が無い社員で、その月からオヤジのチームのメンバーになっていた。
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