第5章 部下

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[拾参] 「ああ、お客さんに呼ばれたから大阪まで行っていた。行って役員の愚痴を沢山聞いてきてやったわ。」 「もしかして例の百貨店ですか?」 「そう。いつもんとこや。会員をどう使うかで揉めてる……と言うか答えが出せへんねんなぁ。役員が上に言い訳するのにオムニチャネルがどうのこうのって、ここ2年ぐらい言い続けているだけや。」 「大将が行っても話しにならんのですか?」 「そんなもんなるかいな!何処の馬の骨とも分からんコンサルタント如きのいう事なんかに耳を貸すかいな。」 「本体の社長は面識あるんでしょう?」 「そこと百貨店の会長はそんなに仲がいい訳ではない。」 オヤジは首を振りながら諦め顔で応えた。 「惜しいですよねえ……。」 「まあ、大企業の理論っていう社内力学が存在するからねぇ。それは無視できないんだよ。大迫君。まあ、俺も結構適当にやっているからね。こんなもんだろうな。」 安藤さんがオヤジと大迫さんの前にビールを置いた。 2人はビアグラスを持ち上げて 「乾杯」と言って一気にビールを飲んだ。 「ふ~。美味いわ。我慢してここまで帰ってきた甲斐があったわ。」 「僕はアイス珈琲を飲んじゃいましたけどね。でも美味いです。」
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