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[拾六]
「ありがとうございます。でも、おいしい酒が飲めなくなったらどうするんですか?」
「飲めなくなったらか?そんなもん、知るか!飲めるようになるまで自分で考えろ。」
「え~?」
「そんな事は知らん。そんな難しい事を俺に聞くな。」
「やっぱりな。一平は思い付きで話をするからな。そんなことだろうと思ったわ。その上、突っ込まれたら面倒くさくなるんや。」
安藤さんが大笑いしながら大迫さんに言った。
「美味しい酒を飲んでいる時にごちゃごちゃと訳の分からん事を聞くか?普通?」
「すんません。しょうもない事を言うて」
「分かればよろしい」
どうやらオヤジは久しぶりに会った元後輩で部下の大迫さんにじゃれているだけのようだ。
オヤジは本当に人が好きなんだなと思う。
真剣に聞いていたが、ここに居たのは中身のない話をしているだけの大人が2人だった。
そんなオヤジの周りには人が寄って来る。
オヤジはそんな人生を楽しんでいるようだった。
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